院長ブログ

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院長の本棚(番外編)④

危機と人類(上・下) ジャレド・ダイアモンド著

 

NHK等のテレビ番組でも繰り返し登場し、「銃・病原菌・鉄」「文明崩壊」で有名なジャレド・ダイアモンドの新しい本を紹介します。著者はカルフォルニア大学ロサンゼルス校地理学教授で、1937年ボストン生まれですから、既に80歳を超えていますが、まさに知の巨人といった感じです。

今回は、世界中で国家が危機に瀕したときにどのように対処しその危機を切り抜けたかを、成功した国々を例として有意義な示唆をしています。

世界から7ヵ国の事例が選ばれていますが、その中に日本の事例が2つも入っているのも、特筆されるところです。日本については、鎖国から明治への移行期と現代の直面する問題について巨視的観点から書かれています。おそらく地政学的な視点を持った地理学者ならではの取り上げ方、と言えるでしょう。日本以外では、大量虐殺を経験したインドネシア、東西分断とナチスの負の遺産に向き合ったドイツ、白豪主義の放棄とナショナル・アイデンティティの危機に直面したオーストラリアなどが選ばれています。

遠くない過去の歴史的危機から、何を学び、これからの危機にどう備えるか、考えるきっかけになると思います。