院長ブログ

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新型コロナ(COVID-19)感染後遺症について

新型コロナ感染症(COVID-19)への予防対策に気を配っておられる方は多いことと思います。ワクチン接種が高齢者だけではなく、若い世代へも広がりつつありますが、オリンピックの開催をひかえており、これからも、広い観点からの感染対策を続け、新規発症を抑えていくことが大切だと思います。

メンタルヘルスに携わる私たちは、感染症蔓延下で、感染に対する強い不安や、種々の対策による経済逼迫などで、慢性的なストレス下にある人々のうつ状態など精神的不調が心掛かりです。

一方、最近の報道では新型コロナ感染後遺症のことが話題になっています。これは、前述のメンタルヘルスにかかわる部分も一部あると思われるのですが、身体的基盤による諸症状が中心的な、複雑な状況と推定されます。実は種々のウイルス感染症治癒後の慢性的な不調は以前から報告されており、新型コロナ感染症も例外ではない、という事です。

新型コロナ感染症では、感染症状の軽重にかかわらず、また、年齢に関係なく、後遺症状が見られます。ただし、すべての感染経験者に見られるわけではなく、約8割の方は後遺症状を残さずに回復されるようです。しかし、2割に疲労感やけん怠感が、1割に息苦しさや睡眠障害、脱毛などの後遺症状が見られるとのことです。また、嗅覚・味覚障害は高頻度に見られる感染時症状ですが、感染症治癒後1ヶ月でも2〜3割の方で症状が持続しているようです。なかでも、20代では嗅覚・味覚障害が、30代では呼吸器症状や倦怠感が多く見られるようで,若い方でも安心できません。これらの後遺症状は感染症状の重症度との関連はなく、背景にあるメカニズムについては不明で、対処方法も明らかでない状況です。ワクチンは感染リスクを軽減し、重症化を阻止することがわかっていますが、この感染後遺症状への効果については不明です。現状では、後遺症予防についても、感染しない事が最大の防御法である、と言わざるを得ません。