
院長ブログ
院長の本棚番外編⑬
遺伝子は不滅である リチャード・ドーキンス著 大田直子訳 小林武彦解説 早川書房
処女作「利己的な遺伝子」で著名なリチャード・ドーキンス氏が83歳という年齢で、遺伝子と進化についての集大成とも言える著作を2025年に発表しました。本書の原題は「The Genetic book of the dead」で、「遺伝子版死者の書」と訳されています。つまり、遺伝子という生物に書き込まれている過去からのデータを読み解いていく事がこの本の目標だということです。それでも実際の遺伝子の話はほとんど出てこず、遺伝子から飜訳された結果としての「表現型」の話が、多彩な実例を、これでもかと記述する形で、色刷りのイラストをちりばめながら、進められていきます。それは、表現型としてのカモフラージュ,擬態,祖先種の過去環境への適応形質、収斂進化,適応放散などなどです。そして、遺伝子視点(観点)とはどんなものかや、「延長された表現型」についての論理が展開されていきます。この辺は本書を実際に手に取って頂き、ドーキンス氏の理論展開を楽しんでいただきたいところです。読後感としては、遺伝子を軸に進化を考えろ、と言われ、視点の転換を迫られる感じでした。著書「利己的な遺伝子」を既にお読みの方はもちろん、知っていて興味はあるけど読んだことはないという方にも、一読をお勧めします。