
院長ブログ
院長の本棚番外編⑮
平等について、いま話したいこと
トマ・ピケティ 、マイケル・サンデル 著、岡本 麻左子 翻訳
早川書房
「これからの「正義」の話をしよう」「実力も運のうち 能力主義は正義か?」などの著書で知られる哲学者、マイケル・サンデルと、「21世紀の資本」で知られる経済学者、トマ・ピケティの2024年5月の対談が日米同時出版されました。本書では、このふたりの考えの真髄と、今の世界の根底に横たわる問題が指摘されており、「平等」を経済、政治、そして人間の尊厳という3点から整理していきます。経済の観点からは、不平等を解消するには、「富の再配分」か「社会制度の脱商品化(いわば、無償化)」のいずれを重視すべきかという議論が展開されます。また、能力主義という名の「学歴偏重主義」の弊害について、サンデルの持論が展開されています。グローバリゼーションについても問題点が指摘されています。ピケティは、資本やモノ、ヒトの自由な移動について、足かせなしに好きなものを国家間で移動させる権利を国民に与えた結果、没落した地域が出現したと指摘しています。サンデルはピケティの話を肯定しつつ、経済と政治の不平等を減らしたいならば、より平等な承認、敬意、尊厳、尊重を実現する条件を整えられるかどうかにかかっている、とまとめています。グローバリゼーションや市場原理主義,能力主義が一番いいシステムだと思う人は、ぜひご一読を。