院長ブログ

院長ブログ

心理カウンセリング

時々、「カウンセリングを受けたい」と希望され、当院を受診される方がおられます。カウンセリングは、広い意味では「相談者の抱える問題・悩みなどに対し、専門的な知識や技術のもとに行われる相談援助」のことですが、受診された方はいわゆる精神心理学的な相談援助、すなわち、心理カウンセリングを受けたいとお考えなのだと思います。

では、心理カウンセリングとはどんなものでしょう? 当院にカウンセリングを希望されておいでになる方の多くは、心理カウンセリングで「答え」や「指針」を求めておられるように見受けられます。ところが、原則として心理カウンセラー(もちろん単なる相談相手ではなく、臨床心理学の知識と経験を有する専門家です)が相談者(通常、クライアントと呼びます)に答えをだしたり進むべき道を示したりしないことは、ご存じですか? 「心理カウンセリング」とは、クライアントがいだく心配や悩みなどを、面接や手紙・日記などの媒介を通じて、本人自身で解決することを「援助」することなのです。決して「答え」を用意してくれるわけではありません。

カウンセリングという言葉には、元来、相談の上指針を示す・アドバイスするという意味も込められているので、「心理カウンセリング」にそんな過度の期待がかけられるのでしょう。でも、他の領域はいざ知らず、精神心理学的な領域では、カウンセラーは答えを提示したり、修正すべきこころの問題を箇条書きにして説明してくれたりはしません。いわば、クライアントがひとりではできないこころの問題の解決を,クライアントに寄り添い、専門的知識を駆使して、その問題解決の作業を支援するのです。導きではなく、あくまで手助けである、と言えばいいでしょうか。でも、この手助けが、クライアントの方のこころの問題解決の糸口になるのは、間違いありません。心理カウンセリングの本当の意味と意義をご理解の上、ご活用いただけるよう、お願いいたします。